未知の世界。

そこは、未知の世界でした。
理科棟と呼ばれる校舎の4階に、屋上へとつながるはしごが存在します。
屋上へと続く煙突のようなそのはしご道は、いつも鍵のかかった扉で隔たれていました。
もちろん、生徒は立ち入り禁止ゆえです。
しかし、屋上というものにあこがれるのが私達生徒というもの。立ち入り禁止となればなお更!!
でも、やはり現実に立ちはだかるは鍵のかかった扉。
それが。昨日は違いました。
なんと、そこの扉が開いていたんです。どうやら工事の人が使っているらしく。
今日の放課後、工事の人がはしごを使って登っていたので、てっきり閉められたものだと思っていました。
で・す・が。
部活が終わり、ふと気付いて委員長が登ってみたところ、鍵がかかってない、と。
なにぃー!?
こ、これは登るしか!!
と思い、そのはしごを登って屋上へとあがったのです。
そこは、未知の世界でした。
そして、思い描いていた世界でした。
通り抜ける風は冷たく。
少しの罪悪感とスリル。
まるで外界からここだけ切り離されたような静寂。
そして、なんといっても空の広さは圧倒的でした。他の建物より比較的高いわけですから、周りを見渡しても空の面積が多いのです。
普段見れない景色を見ることが出来て楽しかったです。
工事が終わると、あそこも閉まってしまうかもしれない…。
一度、明るいうちから日が落ちるまで、そこで空を眺めていたいなぁ、なんて思ったり。
…その間に工事の人がドアを閉めておりられないというお約束的なハプニングがなければ良いけれど。